【オーダー作品完成】亡くなった愛犬君を木彫り作品であなたの傍に。

こんなにも「命」を感じる物が他にあるのか?

 

やっぱり木彫りが持つ不思議な力、木だからこそ木彫りだからこそ表現できる生命の形があることを改めて実感する。

 

 

亡くなった愛犬を写真から彫って欲しい。

お客様からの制作依頼が長い年月を経て形になりました!

オーダー制作 ユーリくん正面

カワイイ。

ミニチュアダックスフンド。

 

 

ペットロス。

そういう言葉もありますが、今まで僕は写真から犬や猫を彫ったことがなかったんです。

 

それでも大二郎に彫って欲しいとご依頼頂けたことは本当に感謝しかありません。

ありがとうございます。

 

そんなお客様とのやりとりは初めての事ばかりで、

ご迷惑をおかけしたこともあったと思います。

 

最初は粘土細工からのスタートでした。

オーダー制作 ユーリくん 粘土細工

少ない写真からどういう姿にするのか。

この時点でどこまでお客様の理想に近づけるかがすごく大事。

 

木での制作が始まると修正できない部分が多いんですよ。

 

例えば大きさもそうだし、

座ってるのか歩いてるのか、そういう格好はもう変えられない。

 

この時点で数えきれないくらいやりとりしたなぁ。

懐かしい(笑)

 

粘土を使ってデザインが決まったらそれを元に下絵を描く。

そして木材の準備。

 

大まかに切り出した木材をまずは鉋(かんな)掛け。

使う木材は楠。

オーダー制作 楠に鉋がけ

これをしたのはもう1年以上前。

それでもやっぱりこうして画像を見ながら振り返ると思い出してくる。

 

お客様の大切な思いを形にする事。

丁寧に形にしていきたい。

そういう思いで始めた愛犬くんの制作。

 

木彫りは当然ながら彫り過ぎたら終わり。

失敗できない恐怖心との闘いでもあるんですよね。

 

彫る前の準備としてノコギリで切り込むときもそう。

少しでも切り込みが深くなるとその木はもう使えない。

技術と集中力が問われますね。

オーダー制作 ユーリくん ノコギリで切り込み

この切り込みを入れる意味はわかります?

いくつかあるんですけど、

1つは彫りやすくなるように。

 

やっぱりただ木の塊を彫っていくと割れたりする部分もあるんですけど、こうして切り込みを入れておくだけで割れを止める事も出来る。

 

それとやっぱり切り込みを入れる目的は位置関係を正確にする為です。

彫っていくと下描きは消えちゃいますけど、切り込みを入れておくことでここまでは彫って良い部分だなっていうのがわかるんです。

 

時間は掛かっても丁寧に切り込みを入れておくことで失敗が減らせますし

正確な木彫り作品にする事が出来るんです。

 

その切り込み線と下描きを頼りに鑿(のみ)を使って木彫りスタート!

オーダー制作 ユーリくん 彫り始め

切り込み線が残ってる所はまだ彫る必要があるところ。

切り込み線が切るまでは彫っても良いっていう事。

 

彫っていくと木の塊だったのが少しずつ犬らしくなる。

この過程がまた楽しい!

オーダー制作 ユーリくん 荒彫り

彫る楽しさもあるけど、同じくらい実は迷ってたりします。

下描きと切り込みはあってもやっぱり最後は頭の中にあるイメージなんです。

 

お客様から頂いた愛犬君の画像を何度も見ながら

少しずつ目の前の木を形にしていく。

 

たまにはひとやすみ。

オーダー制作 ユーリくん ひとやすみ

こうしてただ眺めてるだけっていう時間も大事で、

見えてなかった部分が見えてきたり、

木から感じる物がある。

 

これが木と向き合う木彫りならではの制作なんですよね。

 

そして必要ない部分を決める。

オーダー制作 ユーリくん お腹のライン

これはお腹の部分に線を引いてるとこ。

少しぽっちゃりし過ぎてたのでここだと思う部分に線を描いて彫る位置を決めていきます。

 

そして彫る。

オーダー制作 ユーリくん お腹を彫る

お腹を彫りながら足の位置も決める。

木彫りは彫っては描いての繰り返し。

 

この時どこから彫るのかっていう判断を誤ると取り返しがつかないので注意。

基本的には高い部分から先に決めてあげるのがコツかな。

 

上の画像で言えばお腹よりも足の方が位置が高いわけで、

お腹はまだザックリと彫りながら足の位置を先に決めちゃいます。

 

ここまで彫れたらもう犬にしか見えませんね!

オーダー制作 ユーリくん 形が出てきた

でもまだミニチュアダックスには見えないかな。

やっぱり毛並みがあるかどうかって大事。

 

木彫りの技法が違えばこれくらいで彫り終わりにされる方も居ます。

あとは色を塗って毛並みを表現したりね。

 

僕は出来るだけ彫ることで表現したいので毛並み1本1本を彫り込んでいきます。

オーダー制作 ユーリくん 毛並み

まずはこんな感じでざっくりと。

こうして少し毛並みを入れるだけでも印象が全然違います。

 

この時点でお客様に見てもらったところ。

毛並みはもっと細い方が良いとのこと。

 

さぁどうする。

出来るだけ細い丸刀を使って彫ったんですが、それよりも細い毛並みが良いというお客様。

 

 

どうすれば彫れる?

 

 

無理っていうのは簡単。

でもどうすれば彫れるのかを考えるんです。

 

そこに僕自身の成長もあるし、

何よりお客様の理想がある。

 

 

その結果、ある技法を使う事で今持っている彫刻刀でより細く柔らかい線を彫る事が出来る事を発見!

こんな感じに彫れました!

オーダー制作 ユーリくん 柔らかい毛並み

木だけど柔らかい。

僕が求める木彫りは堅さがない木彫り。

 

三角刀で彫ると毛並みは堅さを感じるのでほとんど使わない。

丸刀を使って彫る事で細い毛並みを彫る技法。

 

結果的に触っても柔らかさを感じられる理想の質感が彫れるようになりました!

 

もちろん顔にも毛並みを付ける事で良い感じの仕上がりになって来ました。

オーダー制作 ユーリくん 顔

もう彫り終わりかと言うと、まだまだ。

 

お客様の希望もあって底面にはしっかりと肉球も彫っていきます。

オーダー制作 ユーリくん 肉球を彫る

底面は見えないからそこまでしなくても・・・。

そういう意見もあるかもしれませんが、僕が彫ってるのはお客様の大切な愛犬です。

 

見えないとか見えるとか関係なくて、

お客様の大切な家族である愛犬を形にする。

その為にはどこからみても違和感ないように彫りたいと思ってます。

 

そしてこだわりポイントがもう1つ。

お客様から頂いた画像をよく見て気づいたんですけど、歯の形に特徴がある!

 

前歯が前後に少しずれてるんです。

すごく細かいけどお客様はこういうところをきっとしっかりと見てるはず。

オーダー制作 ユーリくん 歯を彫る

3mm幅の彫刻刀よりも更に狭い歯。

木彫りの技術が問われるところですが、しっかり丁寧に彫っていく。

 

お客様が見た時に「そうそう!こういう歯だった!」

そう感じて頂けるように特徴を押さえた歯並びに。

オーダー制作 ユーリくん 歯並び

目と鼻を鉛筆で少し黒くして見たらまた表情が生き生きとしてきました。

 

全体的に仕上がってきて、そろそろ彫り終わりに出来るかなというところでお客様に確認して頂いたところ・・・。

 

お腹にもう少しくびれが欲しいとの事。

 

言われてみると確かにくびれがあまりない。

やっぱりお客様はしっかりと愛犬君の事を見てますね!

 

すでに毛並みを彫ってるわけで、今からくびれを作るっていう事はこの毛並みを彫り直すっていう事でもある。

 

でもためらいません(笑)

オーダー制作 ユーリくん くびれ

毛並みをすでに彫ってるのでもう修正できません。

そういうのは簡単です。

 

でもそんな諦めの境地で完成させた作品を届けられてもお客様は喜びません。

そこに僕の存在意味はない。

 

毛並みが消えるならまた彫れば良い。

それだけのことです。

 

結果的にくびれが出来た愛犬君はより愛犬君らしく仕上がったわけです。

オーダー制作 ユーリくん くびれ仕上がり

なんだか尻尾を振って喜んでる感じもする。

 

最終的に目と鼻は着色をして、底面には僕のサインも入れさせて頂きました。

もちろんお客様の希望もあってね。

オーダー制作 ユーリくん 目鼻着色

オーダー制作 ユーリくん 大二郎サイン

これでついに彫り終わり!

 

いつもは次にワックスを塗るわけですが、

今回はお客様の希望もあって首輪としてパワーストーンを付ける事に!

 

このパワーストーンにもお客様にとって大切な意味が込められたものをチョイス。

 

知人のアクセサリー作家さんにお願いして用意して頂きました(*^^)v

 

最後は仕上げにワックスを塗って乾燥させたら完成!!

 

今作は制作依頼から完成まで2年以上。

お客様の方にもいろいろあって途中でちょっと中断したりという事もありましたが、

何度も何度もやり取りを繰り返して来ました。

 

お客様の思いを受けてそれを形にするのが僕の役目。

共通する思いは1つ。

亡くなってしまった愛犬を木彫りで形にする事。

 

どこまでお客様のイメージに近づけられるのかという不安もありながら

完成した作品は僕自身にとっても大切な愛犬になったような気がします。

 

では、完成後に大二郎がニコニコしながら撮影した画像をどうぞ(笑)

オーダー制作 ユーリくん 斜め

オーダー制作 ユーリくん お花と一緒に斜めから

オーダー制作 ユーリくん 後ろ姿

オーダー制作 ユーリくん お花とポストとどんぐり

こうして傍いるこの愛犬君を眺めてると命を感じるんです。

木彫りで作ったとわかってても本当に生きてるかのような感じさえする。

 

この愛犬君と過ごしてきた時間が長いからなのかもしれません。

でもきっとお客様もこの木彫り作品を傍に置いた時、感じる物がある思います。

 

まだ画像を見て頂いただけですが、すごく喜んでくださいました!

これで僕も一安心。

 

あとは実際に現物を見て頂いてどういう印象をもたれるか。

ドキドキの瞬間です。

 

こうして写真から彫るという初めての試みから僕自身たくさんの学びを頂きました。

 

大切な愛犬という家族だからこそ少しでもお客様に寄り添って形にする事が大切だと思う。

時には愛犬との思い出話もして頂いたりする事で、想いを共有出来ます。

 

大切なご家族だからこそ時間をたっぷりかけて形に。

 

ペットロスで悩んでいる方、大好きだった愛犬を形に残したい方。

その思いに寄り添って木彫り作品で形にさせて頂きます。

 

心にぽっかり空いたその穴を埋める事が出来たなら、

きっと人生が活き活きとしてきます!

あなたが笑ってる事が亡くなってしまった愛犬や今傍に居るご家族にとっての幸せです。

 

木という生きた素材だからこそ、表現できるものがある。

愛犬を彫って欲しいというあなたからのご相談お待ちしています。

【オーダー作品完成】亡くなった愛犬君を木彫り作品であなたの傍に。” に対して2件のコメントがあります。

  1. れなママ。 より:

    こんにちは、素晴らしい作品ですね。

    私もペットロスを何度も経験しました。最後の末娘はい、3年になりますまだまだまペットロスを感じる日々です。しかし愛おしい存在なのにいつの日か悲しみは必ずとも薄れてゆきますね。しかし目には見えない確かなる存在を感じながらもお写真を飾りながら寝ています。

    木の温もりが感じられるニンギョウは確かにペットを感じさせてくれる作品ですね。

    1. 大二郎 より:

      れなママ。さん、コメントありがとうございます(*^_^*)
      ペットロスはたくさんの思い出があるからこそつらくもありますよね。
      悲しみを乗り越えられるのも人間が忘れる生き物だからだと思います。

      時間と共に感情も変わっていきますが、亡くなった子たちを大切にしてあげる事もまた素敵なことだと思います。

      無機質なものではなく、命ある木という素材だからこそ、
      またそこに思いと共に新しい形で命として宿るものだと思います。

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